新しく仏壇を購入した人がまず最初に悩むのが、仏壇の【置き場所】と【向き】でしょう。
仏壇は家族が毎日手を合わせるものなので、置き場所や向きが重要です。
しかし、仏様に関することは何かと決まりが多いので、仏壇の設置についても「これで大丈夫なのかな?」と迷う人が多いのです。
この記事では、
- 仏壇の置き場所
- 仏壇を置くときの向き
について解説しています。
これから新たに仏壇を購入するという方、または引越しをするという方はぜひ参考にしてみてください。
《仏壇を置く場所はどこがいい?》
仏壇は家族みんなが手を合わせるものなので【置き場所】が大事です。
しかし、仏壇を置く場所に関しては『必ず〇〇に置く』という決まりはありません。
とはいうものの、仏壇を置くにあたり『適した場所』はあります。
〖仏壇を置くなら【仏間】が望ましい〗
あなたの家には【仏間(ぶつま)】がありますか?
もしも仏間があるなら、ぜひ仏間に仏壇を置いて下さい。
仏間というのはその名のとおり『仏様を祀(まつ)るための部屋』であり、仏壇・仏像・位牌などを安置して、ご本尊様やご先祖様の位牌に手を合わせるための重要な部屋です。
ですから、家に仏間がある場合は、ちゃんと仏間に仏壇を置くことが望ましいのです。
しかし、最近の住宅には仏間がないことも多いです。
もしも仏間がない場合は、家族みんなが集まるような他の部屋に置くといいでしょう。
〖座った時に、ご本尊様が目線よりも上になる場所〗
仏壇を置く部屋が決まったら、仏壇の中におられるご本尊様との目線に注意をしてください。
仏様はできるだけ【見下ろさない】ように心がけましょう。
そうはいっても、普段の生活で常に見下ろさないようにするのは難しいと思います。
ですから、仏壇に手を合わせるときくらいは、ちゃんと座って【ご本尊様を少し見上げる】ようにしましょう。
そのためにも、仏壇はあまり低い場所へ置かないように注意をしてください。
〖直射日光が当たらず湿気の少ない場所〗
仏壇を置く場所としては【日当たり】や【湿度】にも注意が必要です。
まず、仏壇に直射日光が当たってしまう場所は避けましょう。
仏壇が日に焼けて変色してしまったり、日焼けした場所だけ劣化が早まる可能性があります。
また、湿気の多い部屋も避けた方が賢明です。
仏壇などにカビが発生しますし、お線香も湿気で火がつきにくくなってしまいます。
ですから、仏壇は直射日光が当たらず、できるだけ風通しがよく湿気の少ない場所へ置くようにしましょう。
〖なるべく仏壇にお尻を向けないような場所〗
仏壇にはご本尊様がおられ、またご先祖様のお位牌も安置されています。
ですから、仏壇にはできるだけお尻を向けないようにしましょう。
したがって、仏壇を置くのも【仏壇にお尻を向けないような場所】が望ましいです。
これは要するに、『仏壇の反対(対面)側』にはできるだけ何も置かないということです。
もしも、仏壇の反対側に家具などを置くと、その家具に向かっているときは仏壇にお尻を向けることになります。
また、同じ部屋に仏壇と神棚がある家は多いと思います。
仏壇と神棚というのは『できるだけ離れた場所に安置することが望ましい』とされています。
だからといって、仏壇と神棚を離そうとして対面の形で置いてしまうと、神棚を拝む際には仏壇へお尻を向けてしまい、仏壇を拝むときには神棚にお尻を向けてしまいます。
ですから、神棚がある場合は仏壇と横並びになるように置きましょう。
《仏壇を置くときの向きは?》
仏壇を置くときには【仏壇の向き】も気になるところでしょう。
じつは、仏壇の向きに関しても『必ず〇〇の方向へ置く』という決まりはありません。
とはいうものの、仏壇を置くのに【適した方向】とされるものがいくつかあります。
一般的に言われている【適した方向】には、
- 南面北座説
- 本山中心説
- 西方浄土説
があります。
〖南面北座説〗
まず1つめは、『仏壇は【南向き】に置くのがよい』という考え方があります。
昔の中国では《身分の高い人物は南を向いて座り、他の者は北を向いて座る》という習慣がありました。
この習慣は日本にも伝わって、同じように高貴な身分の人物は南を向き、その他の人たちは北を向いて座りました。
それで、仏壇を置くときにも同様に『最高位であるご本尊様が南を向くようにするべき』と考えられたのです。
また、仏壇を南向きに置くということは、ほとんどの場合は仏壇を【部屋の北側】へ置くようになるでしょう。
すると、仏壇のある部屋に日差しが入ったとしても、日差しがあまり仏壇に当たらず、それだけ仏壇や仏具が傷まずにすむというメリットがあるのです。
以上の、【身分の違いによる習慣】と【日差しが仏壇に当たらない】という2つの理由で、仏壇は南向きに置くのがよいと考えられるようになりました。
〖本山中心説〗
2つめに、『仏壇は【本山(ほんざん)のある場所】に向けて置くのがよい』という考え方があります。
本山というのは、その宗派を統括している寺院のことをいいます。
つまり、本山はその宗派にとって最重要で中心的な場所なので、そこに向けてご本尊様を安置するのが適当である、とされているのです。
ただ、ご本尊様を本山の方に向けるということは、あなたの家と本山との位置関係によって方向が変わってしまいます。
したがって、本山を中心に考えた場合は、仏壇を置く方角というのは決まっていないのです。
〖西方浄土説に従って置く〗
3つめに、『仏壇は東向きに置くのがよい』という考え方もあります。
あなたは阿弥陀如来(あみだにょらい)という仏様をご存じですか?
阿弥陀様は、いわゆる『極楽(極楽浄土)』におられて、私たちが困った時にはいつでも救いの手を差し伸べて下さる大変ありがたい仏様です。
阿弥陀様のおられる極楽は《はるか遠く西の方向》にあるとされています。
ですから、仏壇を【東向き】に置けば、私たちは西に向かって手を合わせることになります。
また、東は、縁起が良くて活力あふれる方角とされています。
つまり、仏壇のご本尊様は縁起の良い東を向き、手を合わせる私たちは極楽のある西を向くので、『仏壇は東向きに置くのが良い』とされているのです。
《まとめ:仏壇を置く場所や向きに厳密な決まりはない》
仏壇を置く場所や向きには厳密な決まりはありませんが、その目安となるものはあります。
仏壇を置く場所は、
- 仏間
- 座った時に、ご本尊様が目線より上になる場所
- 直射日光が当たらず湿気の少ない場所
- 仏壇にお尻を向けなくてすむ場所
というのを目安にするとよいでしょう。
仏壇を置く向きについては、
- 南向き
- 東向き
- 宗派の本山のある方向
を目安にしてみて下さい。
仏壇は家族みんなが手を合わせるものです。
この記事を参考にしていただき、各家庭ごとに最適な場所を選んで仏壇を置いて下さい。