大切なご先祖様のご遺骨が納められている『お墓』。
お墓に向かい手を合わせていると、何となく気持ちが落ち着いて心が洗われませんか？
お墓とは、単なる【納骨場所】ではありません。
あなたがいつも手を合わせている『お墓』には他にも大事な役割があります。
《お墓は何のためにあるの？》
お墓を新しく建立した時には必ず『開眼(かいげん)法要』という法要を執り行います。
これは、墓石を【あの世とこの世が繋がれた状態】にするための大事な法要です。
新しく建てたばかりの墓石は、まだ【ただの石】の状態ですから、開眼法要を執り行うことでようやく本当の【お墓】になるのです。
お墓が単なる【納骨場所】ではないからこそ、わざわざこのような法要を執り行う必要があるわけですね。
お墓の前では、あの世のご先祖様にいろんな事をお伝えして下さい。
あなた自身のことやあなたの家のことなどお伝えする内容は何でもかまいません。
できるだけ多くのことをお伝えして、最後に感謝の気持ちを伝えて下さい。
今あなたがそこに存在しているのは、あなたのご先祖様が絶やすことなく命を繋ぎ続けて下さったからです。
感謝の気持ちをお墓の前で伝えると、それがお墓を経由してあの世のご先祖様に届きます。
すると、それに応えてくれるかのように、あの世のご先祖様からのメッセージやご利益も、同じようにお墓を経由してあなたに届けられます。
そう考えてみると、お墓はまるで私たちが使用している『電話機』のようです。
お墓を経由して、あの世のご先祖様と言葉ではなく心で対話をしているようなカンジです。
お墓を経由して積極的にご先祖様と通じ合って下さい。
お墓を設けるのは、あなたとご先祖様が通じ合うためでもあるのです。
《お墓の起源》
お墓というものは一体いつからあるのでしょうか？
お墓の始まりはお釈迦様の遺骨を納めた『仏舎利塔(ぶっしゃりとう)』だといわれています。
お釈迦様の遺骨を分け、それを納めるための仏塔がいろんな場所に建立され、多くの人がそれらを礼拝しました。
この仏舎利塔が現在のお墓の起源となりました。
日本においては、縄文時代の頃は遺体を【屈葬】などのようにして土中に埋葬していたようです。
その後も、地位の高い人はお墓を設けて祀ることはありましたが、庶民はまだお墓を持つことはありませんでした。
現在のように庶民がお墓を建てるという習慣が生まれたのは江戸時代です。
《お墓が【石】で造られる理由》
お墓といえば『石で造られたもの』というイメージがありますよね？
なぜ【石】を使ってお墓を造るのでしょうか？
これにはいくつかの理由があります。
それは、
- 石が硬くて丈夫だから
- 古事記による言い伝え
- 動物による掘り起こしを防止するため
といったものです。
まず一つめは、石が硬くて丈夫だから、という理由です。
あなたもご存じのとおり、石はとても硬いですし、数十年から数百年もの時間が経っても形があまり変わりません。
お墓はご先祖様たちと通じるための大切な場所です。
それを永年に渡って維持するには、お墓の素材が【できるだけ長持ちする物】である必要があります。
そこで、お墓には後世に残り続けて比較的入手もしやすい石が使用されるようになりました。
次に、お墓に石を使用するのは『古事記』に登場する【千引石(ちびきいわ)】が起源であるという説があります。
千引石とは、イザナギが妻(イザナミ)の変わり果てた姿を見て黄泉の国から逃げ帰ってきた時に、入り口を塞ぐために置いた岩です。
死者のいる世界と私たちのいる世界を繋ぐ場所という意味で、お墓には【千引石】にちなんで石を使うようになったと言われています。
最後に、動物に掘り起こしをされないように石を置く、という理由もあります。
昔はご遺体を土の中へ埋葬する『土葬』をしていました。
そうすると、犬などの動物が遺体を埋葬したところを掘り起こしてしまうことがあるのです。
これを防止するために埋葬した場所に重い石を置くようになりました。
《お墓はあなたを幸せにする》
私たちは常にご先祖様に守られています。
ご先祖様は、あなたの知らないところでも、たくさんの恵みやご利益を注ぎ続けて下さっています。
それに対する感謝の気持ちは、できるだけお墓の前で伝えて下さい。
お墓は『あの世とこの世を繋ぐ場所』ですから、あなたの感謝の気持ちがお墓を経由して直接ご先祖様に伝わり、ご先祖様の方からもたくさんの恵みやご利益があなたの元に届きます。
お墓に向かい心を込めて手を合わせることで、ご先祖様もあなたもお互いに『幸せ』になることができるのです。
お墓は、ご遺骨を納めるだけではなく、『幸せ』をもたらす大切な場所といえます。
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『真言宗 智山派 金剛院』
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