最近では【自宅での法事】が少なくなりました。
以前は、施主様の自宅におジャマして、ご親戚の皆様が一堂に会す中で、仏壇の御前で回忌法要をお勤めしていました。
ご自宅での法要なので、参列者のほとんどは基本的に『正座』をして臨みます。
中には椅子に座る人もおられますが、参列者全員分の椅子があるわけではありません。
そうすると、普段あまり『正座』に慣れていない人にとっては大変で、法要の途中で仏壇にお線香を供えてもらう時に、脚がしびれて立ち上がれないという人も多いのです。
正座でツラい思いをすると、
「どうして正座なんかしなきゃいけないんだろう?」
と思うことでしょう。
たしかにそうですね、なぜ法事の時には正座をするんでしょうね?
《正座をする意味とは?》
そもそも【正座】にはどういう意味があるのでしょうか?
正座といえば『日本ならではの伝統的な座り方』というイメージがあるかと思います。
しかし、どうやら日本人が正座をするようになったのは比較的最近のことのようですよ。
日本では昔から『安座(あんざ)』という座り方をしていました。
安座というのは、要するに『あぐら』ですね。
戦国時代の武士なんかは、目上の人の前でも『あぐら』をかいていました。
今だと、目上の人の前でドカッと『あぐら』をかくなんてことは大変失礼な行為になってしまいます。
では、なぜ『正座』みたいに脚への負担の大きい座り方が【正式な座り方】となったのでしょうか?
あなたは、正座をすると脚がどうなりますか?
ほとんどの人は、ずっと『正座』をしていたら、まずは脚がしびれ、やがて脚の感覚がなくなり、最後には立てなくなります。
つまり、正座をすることにより急な動作ができなくなるのです。
ですから、正座という座り方には、
- 目の前の相手に対して「私はあなたに危害を加えるつもりはありませんよ」ということを意思表示する
という意味があるのです。
これがやがて、目の前の相手に対する、
- 親愛
- 敬意
を意味するようになり【正式な座り方】として定着しました。
《法事では正座をしなくてはいけないのか》
法事をする時には、ご本尊様と故人の位牌を前にして読経をしたり手を合わせて焼香をしたりします。
ご本尊様や故人の位牌というのは、【親愛】や【敬意】を表すべき対象です。
ですから、法事をする時には正座をするのが礼儀となるのです。
だからといって、『法事では正座が必須』ということではありませんのでご安心下さい。
多くの人は、法事で正座をしていると、途中から【故人の供養】のことよりも【脚のしびれや痛み】の方に意識が行ってしまいます。
場合によっては「早く終わってくれないかな・・・。」なんていうことまで考えてしまいます。
法事は、故人の供養のために執り行うものなので【故人のことを偲び、感謝をする】ことだけに意識を集中すべきです。
正座をすることによってそれが妨げられてしまうのなら、無理に正座をする必要なんてありません。
故人の供養に集中できないのであれば、もっとラクな姿勢で臨んでもらった方がずっといいのです。
それに、法事の最中にあなたが苦痛に満ちた顔をしていたら、故人だって「あぁ、なんだかゴメンね。そんなに無理しなくてもいいからさ・・・。」って申し訳ない気持ちになってしまいます。
せっかく故人の供養をしているのに、かえって故人に気を使わせてはいけませんよ。
椅子に座っても構いませんし、あぐらをかいても構いませんので、とにかく故人の供養に集中することを最優先させてください。
法事での正座については、もっと気楽に、
- 正座ができるなら『正座』をして、正座が苦手であれば『ラクな姿勢』で臨む
くらいに考えて問題はありませんので安心して法事に臨んで下さいね。
〖※関連記事〗なぜ法事をするの?法事は故人とあなたに『良いこと』をもたらす。
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